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【大学受験生向け】英語長文を今より速く読むためにやるべきこと、その心得
コロナウィルスでの休講中、とある生徒さんから質問を頂きましたのでその生徒さんに送った文章をこちらにも掲載しようと思います。
英文の読み方については個人差もあるかとは思いますが、なるべく一般的に言えることを列記したつもりですので是非お読み下さい。
文章中ではわかり易さを考慮し、文章の形式は敬体ではなく常体にしてあります。あしからずご了承願います。
英語の長文をより早く読むために、考えにいれておくべきこと
1.まずはじめに
始めに言えるのは「すべての文章すべての段落すべての文に共通した読み方は存在しない」ということ。言い訳のように見えるかもしれないが、どんだけ文法構造だの段落だの単語だのを大事にしたところで、文法構造から逸脱していたり、行間を想像で補わなければならなかったり、単語の意味を「そんな意味で使うの!?」と和訳を見て思ったりすることはいくらでもある。学習者の段階でそれらすべてを理解するのは不可能だと割り切ってしまおう。
じゃあ、基本を学ぶことに意味がないかというとそうではない。そういう標準から外れた文章の理解に時間をかけなければならないのはもうこれは仕方ないとして、その時間を確保する意味でも標準的な文章は大して考えることなく読めるようになっておかなければならない。
長文を読むというのは、そういう意味で「普通の文は読めて当たり前」のレベルにいかに持っていくかということとイコールだと考えていい。国語の現代文だってサクッと読める部分と、前後の内容やテーマやそれまでの作者の主張から考えて読み解かなければならない難解な部分があるのと一緒のことである。
2.考えずに読めるというのはどういうことか
センター英語(2020年大問6)より抜粋
One of the main reasons Japan has become the vending machine capital of the world is its overall level of safety.
少なくともこのレベルの文を「訳していてはいけない」
ただし、訳をするなというのはよく言われる「英語を英語のまま飲み込め」ということではなく、 「予習のときみたいな本文の丁寧な訳はするな」ということだ。
この文を読むときには、まず日本語を考える前に、文全体の動詞がどこにあるかを考える。ぱっと見るとhas become がそれっぽく見えるが、それはもちろん違う。なぜなら the main reasonsという名詞の後ろにある Japanという名詞の後ろにあることからJapan has~the world はthe main reasons を説明する形容詞節だということがわかるからだ。この手のフェイクにひっかかってはいけない。
そうすると、文全体の動詞はisということになる。be動詞の文だとわかってしまえば後は簡単である。なぜなら、どんなに長い文でも結局のとこ「○○は✕✕だ」という文構造に収束するから、後は前から順々に日本語にしていけば、大体の文の意味は掴める。
1つ 主要な理由 日本がなった 自販機 首都? 世界の その 全体的な レベル 安全
これらの日本語を懇切丁寧に並び替えたり助詞を補ったりしていては到底時間が足りないし、もしこれらの日本語が脳裏にひらめいていったときにそれを脳内でなんとなく補完して理解できないのなら、まずは短文でそれができるように練習しなければならない。で、こうやって並べたときに結構時間がたっても「え、どういうこと?」となるときは単語の意味か文法構造かがイレギュラーな範囲になっているか「そもそも知識が足りていない」ということになるが、それに関してはそもそも「長文の読み方」とは関係がないのでここでは割愛する。単語力と文法の理解は当然ベースとして備わっているとして話しているからだ。でなければ長文への挑戦権が無い。
で、ここからさらにスピードを上げていくのに必要なのが、「英単語のまま飲み込める語彙を増やすこと」である。
例えば、上の例で行くならばoneやreasonを1つ、だの、理由、だのいちいち頭の中でいちいち訳す時間すらもったいないし、一般的な高校生ならばもうやっていないのではないだろうか。(予習の訳ノート以外では)
overallのような1つの単語としては馴染みがなくても、overもallも知っているならなんとなくわかるだろ、というものも訳さないでいいレベルになっているならなお良い。overallのような単語の他の例で、よく長文で見かけるのはmisunderstandingである。これも、「ミスってる・理解」というところから日本語にしなくても「誤解」というニュアンスはつかめるだろう。
vending machineは比較的出てきやすい単語なので、「自動販売機」と訳せる人は多いかもしれないが、長文を読む中では「自動販売機」という言葉よりもこの単語を見て映像としての自販機が浮かんだほうがいい。つまり、一般的に目に見えるものは意味よりも映像が浮かぶようにしておいたほうが「英単語のまま飲み込めるようになる」
問題はcapitalだ。今回、学習者の思考に合わせて首都?とはてなマークつきで訳しているが、この場合のcapitalの意味は「○○が特に盛んなところ、○○の中心地」くらいの訳が相応しい。ちなみに某予備校の訳では「世界最大の自動販売機利用国」となっている。
かといって「オイオイオイ首都とか資本とか資産とか大文字とかの意味どこにいったんだよ」と考えてしまうのは英語学習者の姿勢としてよろしくない。そもそも日本語と英語は違う言語なのだから日本人が1個や2個capitalの意味を覚えていたところでそれを超える訳が現れるのは当然のことなのだ。「じゃあ、capitalのような単語はどう英単語のまま飲み込んだらいいんだ、無理じゃないか」と頭を抱えるかもしれないが、むしろ考え方はまったく真逆。こういう単語こそ「英単語のまま飲み込むべき単語」の筆頭といえる。capitalの持つ意味より、「なんとなく、メインな感じのもの・場所」というほんのりした概念をそのままcapitalという単語に載せて頭に叩き込んでおくべきなのである。
そうすると、「自販機…メインなとこ…世界で…」となり、「ああ、世界でも自販機がめっちゃあるとこってことか」という脳内の回線がつながる。単語帳に1:1対応で訳があるものはそのまま覚え、多義語はその中心にある概念をググったり先生に聞いたりしてまとめておく、
そして1:1対応で書いてあったのに全然違う意味で長文の中で使われていた場合、先生に「これは先生が他の長文でも見たことがあるような意味なのか」を聞き、そうである場合はその単語が持っている大雑把な概念を聞くかググるといいだろう。
以上のような様々な分類の中で、英単語のまま捉えられる単語を増やすことで、英語を英語のままなんて離れ業はできなくても、単純に脳内が単語を日本語にする処理時間が短縮されることで物理的にスピードアップをすることは間違いない。具体的に英検準2級レベルの単語が訳す必要
のないレベルになっていれば、長文を読むスピードに随分と寄与することだろう。
3. 名詞と動詞に注目して文型を捉える
さて、前述の「前から順番読み」でわからなくなったときは文型を考える必要が出てくる。
(逆にいえばそれが通用する間は文型なんて考える必要すらない。むろん、文型を考えないことで誤解し、文意をとらえ間違える可能性は大いにあるが。ここではより速く読むために思考を簡略化することを第一義としたい)
いうまでもなく英語を構成している最も主要なパーツは名詞である。名詞句、名詞節も当然これに含まれる。主語となる名詞は基本的に文の前半部分(メインの動詞の前)にあるためわかりやすいかもしれないが、目的語や補語となる名詞は目的語になるのか補語になるのか、はたまた真主語になっているのか始めのうちはわかりづらいため、大雑把にこう考えよう
メインの動詞(形容詞節の動詞じゃない動詞)の後ろが即名詞だったら目的語を疑う。
それで文意がおかしくなれば、遺憾ながら一度振り返ってS=その名詞になってないかどうかをチェックする。=になっていれば補語なのでS=その名詞として捉えるだけ。形容詞や形容詞句であれば補語なのでS=その形容詞(句) どっちでもなければ第1文型なのだが、これは単純な文構造に見えて単純じゃないので後述する。
SVOまで確定したら、どこまでがその名詞なのかを考え、その後ろが名詞なのか形容詞なのか…と考えなければならないので面倒そうに見えるが、そもそも第4文型は授与型で大体の文意は「○○に✕✕を与える」で、第5文型は「○○を✕✕だと認識している(した)」「○○を✕✕にしちゃった」というものしかないので、文意をとらえ間違えていればすぐにおかしさに気づくはずである(むしろ気づかねばならない)
第1文型は厄介である。第1文型の大雑把な役割は「存在」と「往来発着」を表す文を作ることである。「There is(are) もの 場所」が倒置を起こした第1文型と考えるよりは、「存在」を表す文なのだから第1文型と考えるほうが幾分楽である。
問題は、第1文型には実質他の文型になるものも存在していることである。
例えば、I could make out what she said.(私は彼女の言ったことを理解できた)だが、make という動詞の後ろに out があるので厳密な文法定義上は第1文型だが、意味を見てわかる通りどう見ても第3文型の訳である。なんならI go to shool.もちょっと第3文型っぽくないだろうか。学校「に」行くなんだし…。なので、第1文型を捉えるときには、動詞に→をいれて成立すれば「往来発着」または第3文型として訳しおかしければ「存在」を表すと考えると比較的に文意を理解しやすい。
ただ、それが出来るかどうかはイディオムの語彙力にかかっているため、動詞の暗記と並行して「イディオム」も頭に叩き込んでいかなくてはならない。イディオムは1:1対応で覚えられるものも比較的多いので、そこは概念とか、英語のままというより日本語で理解しておいて、長文の中でも日本語で訳してもいいかもしれない。
(と、いうのも同じ基本動詞から派生したイディオムが多いので、イディオムに限っては日本語にするクセをつけないとむしろ意味のわからない文になる危険性もあるからだ)
以上のことを気にかけてもすぐに出来るものではない。
気にかけて習慣化することで、今からやって大学入試本番に間に合うかどうかというレベルなので、早め早めから英文を読む練習をしておくようにしよう。その中で語彙力や文法力に問題があればそれも並行して身につけよう。